なぜか子供の頃から知っているご当地ソングの一つに「金比羅船々」があります。
でも、この歳まで「金比羅船々、お池に帆かけてシュラシュシュシュー」だと思っていました。
「追風(おいて)に帆かけて」だったんですね。(恥)
そんなですから、当然それ以上の歌詞も知りませんでしたが、この「金比羅船々」は古い民謡であると共に、お座敷遊びの歌なんだそうです。
土佐の高知の播磨屋橋とこの金比羅様は、民謡で知る四国の名所でした。
播磨屋橋は数年前に行く機会がありました。
そして今年は、高松で月曜の朝一の仕事と言う出張があったので、日曜日の前泊、少し早く高松に入り金比羅様に行ってみる事にしました。
空港からJR琴平駅行きのバスに乗り、「お参りする方はこちらで下車してください」と言う運転手さんのお知らせもあったのですが、終点の琴平駅まで行ってみました。
明治22年(1889年)に開業した駅舎が今も残っています。
その歴史も凄いですが、明治5年に開業した日本の鉄道が、17年後に琴平に開業していた事も驚きです。
駅を出てまっすぐ歩くと、1865年に完成した高さ27メートルの日本一高い灯篭の「高灯篭」があります。
瀬戸内海を航行する船の指標として建てられ、船乗りがこんぴらさんを拝む目標灯になっていたとのことです。
敷地内には巨大な楠もありました。
高灯篭を後にし、琴電の琴平駅を過ぎ、金倉川を渡りT字路を左に曲がると、参道らしい町並みに出ます。
しばらく歩くと右側に古い町並みの参道とその先のこんぴらさんの屋根が現れます。
上り階段に挑戦する前の腹ごしらえに、店頭でうどんを打つ店に入りました。
注文したのはうどんと蓮根と牛蒡の天麩羅。
本場の讃岐うどんはコシがあって美味しかったのですが、周りはみんな大陸の方達で、自分はどこにいるのだろうと言う錯覚の中の食事となりました。
参道に戻り少し行くと道が狭くなり階段が現れます。
両側に土産物屋などが並ぶ階段道に、江ノ島の「弁財天仲見世通り」を思い出していました。
階段の脇には時々段数が表示されています。
江ノ島と違うのは、どこまで行ってもエスカーはありません。
でも、こんな籠には出会いました。
途中から階段が急になります。
その急な階段を上りきったところにあるのが「大門」。
高松藩初代藩主・松平頼重侯により奉納されたこの門をくぐると、やっとこんぴらさんの境内に入ります。
ここまでで365段、振り返れば琴平の街並みが見えます。 結構、登ってますね。
境内に入ると、参道の両側で傘を広げて座って何やら商売をしています。
これは「五人百姓」という、「加美代飴(かみよあめ)」と言うべっこう飴を売っている、境内で唯一営業を許されている由緒あるお店なんだそうです。
境内に入ると、少し緩やかな石畳になります。
両側にはこんぴらさんに奉納された方の石碑が並んでいます。
さて、こんぴら参りが一般的になったのは江戸時代のことなんだそうです。
当時は、庶民の旅は禁じられていたそうですが、伊勢神宮や金毘羅宮を始めとした社寺への参拝の旅はその限りではなく、金毘羅宮も一生に一度は参拝したいと多くの人が思う憧れの場所だったそうです。
そして、海上守護・農業・殖産・医薬など、さまざまな神徳を持つ神様として、現在も厚い信仰を集めています。
特に航海の神徳は有名ですね。
こんな大きなスクリューが奉納されています。
月琴号と言う神馬もいました。
そんな広場を後にすると、再び急な階段が復活です。
登り切ると歴史を感じる建物が姿を現します。
御本宮かと思うのですが、「旭社(あさひしゃ)」と言う、金毘羅大権現時代に金堂だった建物です。
大きな鳥居をくぐり先に進みます。
小さな鳥居の先に急な階段が見えてきます。
階段の袂には、本宮まで133段との表示。
でも、厳しい133段です。
最後の階段を登って行くと、本宮の屋根が見えてきます。
785段を登り切ると、大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇を祀る御本宮に参拝です。
そして、ちょっと残念な天気でしたが、大門の眺めから一段と広がる眺望を見ることができました。
再び785段を降り戻ったのですが、途中、1835年に建てられた旧金毘羅大芝居「金丸座」を見てきました。
日本最古の芝居小屋、今でも「四国こんぴら歌舞伎大芝居」として歌舞伎が公演されてりのだそうです。
そして、昭和7年に建てられた琴平町公会堂。
日本建築の良さが感じられる建物です。
そして、琴電琴平駅から琴電に乗って高松に向かいました。
785段の階段を登りたどり着く金毘羅宮ですが、本宮の横の方には山の中を走る舗装道路がありました。
今は、様々な物資を上げるのは、車を使っているのだと思います。
しかし、ここに神社ができたのは1100年頃と言われています。
その時代に、この地に建造物を作ったと言うこと自体に、信仰への想いの深さを感じます。
そこに785段の意味があるのかなと、張った足を伸ばしながら、思ったより飛ばす琴電のシートに座って思ったのでした。