いよいよ今日から、4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップロシア大会」が開催されます。各地域予選を勝ち抜いた31カ国に開催国ロシアを加えた32カ国が覇権を争います。長年のサッカーファンである僕も、ファンの立場で思ったことを記していきたいと思います。
僕とワールドカップの出会い
僕がワールドカップの存在を知ったのは、1968年のメキシコオリンピックの時でした。この時、日本代表は銅メダルを獲得し、サッカーブームが訪れました。小学校でサッカー好きな教師に、体育の授業をサッカー漬けにされていた時期なので、そのブームは僕のサッカーへの興味に拍車をかけました。銅メダルを獲得した年、メキシコ五輪の得点王釜本邦茂さん(ヤンマーディーゼル)と、そのアシスト役だった俊足ウイングの杉山隆一さん(三菱重工)が対決した日本サッカーリーグ三菱対ヤンマー戦(現在の浦和レッズ対セレッソ大阪)は、当時のアマチュアスポーツとしては別格の4万人の観衆を国立競技場に集めたくらいです。少年だった僕も4万人の一人で、三菱重工を応援していました。
その頃に読んだ雑誌の中に、こんな感じのメキシコ人のコメントがあったんです。
「オリンピックのサッカー決勝にアステカスタジアムを使えるのは、ワールドカップのリハーサルに丁度いい。」
実際は、日本が銅メダルを取った3位決定戦もアステカスタジアムで行われたのですが、オリンピックこそが世界のスポーツの祭典と思っていた少年に、それがリハーサルになるワールドカップとは何物だ?という疑問が生まれたのです。
その答えは、故岡野俊一郎さんの著書「サッカーのすすめ」の中にありました。
この本は、日本サッカーの父と呼ばれるドイツ人コーチ、デットマール・クラマーさんが日本代表のコーチになった時から、メキシコ五輪のアジア予選を勝ち抜くまでに残してくれた様々なエピソードが書かれていたのですが、それと共にワールドカップイングランド大会の事も書かれていました。
決勝におけるイングランドのジェフ・ハーストの疑惑のゴール、キャノンシュートのボビー・チャールトン、ポルトガルの名ストライカー、釜本さんがお手本にした黒豹エウゼビオ、ソ連の名ゴールキーパー黒蜘蛛レフ・ヤシン、そしてこの大会、怪我に泣いたブラジルのキング・ペレなど、世界の名手のことが書かれていました。
それらの誰一人、メキシコ五輪には出場していませんでした。
ブラジルと引き分けましたが、ペレもガリンシャもいなかったのです。
更に驚いたのは、この大会で北朝鮮がベスト8に入ったのです。
当時の参加国は16ですから、今の半分。出るだけでも凄いのに、予選リーグでイタリアを押しのけて勝ち抜き、決勝トーナメントのポルトガル戦では、一時3−0でリードしたのです。結果的にはエウゼビオに4点取られて3−5で敗退しましたが、僕に取ってはまさかの北朝鮮です。
ワールドカップはプロの大会、オリンピックはアマチュアの大会とは理解しましたが、北朝鮮の活躍は、今度は日本の番だと思ったのでした。
オリンピックの翌年、ワールドカップ予選がありました。釜本さんが病気で代表になれず、日本は1勝も出来ないまま敗退しました。
その1970年のメキシコ大会は、後に三菱ダイヤモンドサッカーで見る事が出来ました。1974年の西ドイツ大会の決勝は、ライブで放送されました。日本でもワールドカップが観れるようになってきましたが、日本代表の姿をそこに見るまでは28年掛かった訳です。
その間、ワールドカップが近づいたことは2度ありました。1986年、2回目のメキシコ大会は、最終決定戦で韓国に敗れました。そして、1994年、アメリカ大会予選における有名なドーハの悲劇です。
ドーハの悲劇は、多くの方がサッカーワールドカップを認知した時ではないかと思います。そして、98年フランス大会の予選のジョホールバルの歓喜へと繋がります。
それ以来6大会連続出場となり、4年に一度のワールドカップとその予選を勝ち抜くことは、日本サッカーの流れとなっています。
問われる日本サッカーの強化
こう見ると日本のサッカーは順調に強化されているように見えますが、実は出場国数がこれに絡んでいるのは偶然ではないと思います。1954年以降1982年まで出場国数は16カ国でした。82年から94年までは24カ国となり、98年から現行の36カ国になりました。
24カ国になり少し近づき、32カ国に枠が広がって出れるようになったとも言える訳です。
ですから、本大会での成績こそが、日本サッカーの強化の証になると思います。
当てにならないと言われるFIFAの国別ランキングですが、現在日本は61位です。
アジアの最高位はオーストラリアの36位、予選での対戦成績から、この辺りまでは実力にあまり差がないとも言えそうです。27位のセネガルには、なんとかなるかもしれません。コロンビアとポーランドは明らかに格上ですが、第1戦で当たるコロンビア戦も可能性を見いだせるかもしれません。色々と言われていますが、期待して観ていきたいと思います。
ただ、ベスト32にアジアが一カ国もない状況はいただけないですね。
日本の目標も、ランキング32位以内は常に目標にして欲しいですね。
一ヶ月間、楽しみましょう!
そして今夜は、地元ロシアとアジア予選を戦ったサウジアラビアです。
最新ランキングはロシアが70位、サウジアラビアが67位、地元ロシアとしては、サウジとエジプトに勝って決勝トーナメント進出は必須でしょうから、今日の一戦は興味深いですね。
さぁ、一ヶ月間、楽しみましょう!