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森保監督就任 日本代表の今後について考えてみた


フランスが4−2でクロアチアを倒し、1998年自国開催以来20年ぶりの優勝で終わったワールドカップから早半月が経ちました。
いつまでも「ワールドカップロス」とも言ってられません。
日本では、すかさずJ1が再スタートしています。
代表監督も、森保一コーチの昇格が決定し、五輪監督の兼任となりました。
今回のワールドカップで記憶に残る闘い方をしてくれた日本代表の今後について、考えて見たいと思います。


決して良くはなかった日本代表の結果

大会直前の監督の交代、大会前のテストマッチの不出来、保守的な選手選考など、大会前もテレビは決勝トーナメント進出に向けて盛り上げていましたが、それなりにサッカーを見ている方々はランキング通りの3連敗が当然の結果ではないかと見ていたと思います。
僕自身も、3連敗が妥当な予想だけど、前記したように、西野さんが何かをやってくれる事にも期待をしていました。
成果としてはベスト16に進出を果たした訳です。
大会前の期待が低かったので、その成果を高く評価されています。
しかし、成果はベスト16ですが、結果は1勝2敗1分に過ぎません。
決勝トーナメントで2得点と言う記録は残しましたが、2002年は勝ち点7、2010年は勝ち点6(ベスト16の試合そのものは引き分けだったので7でも良いかも)でしたから、今回の勝ち点4は決勝トーナメント進出で一番少ない勝ち点です。
振り返らなければならない課題も多く見えたのではないでしょうか?

ベースとなる戦術的課題

僕が今回、とても感じたのは戦術的な課題です。
日本の相手の戦い方を分析する能力と、その分析を元にした戦い方はとても優れていました。
一例として、コロンビア戦のハーフタイムの修正は素晴らしいものがありました。
一方、これがハーフタイムを使わなければ修正出来なかった事は、課題としなければなりません。
ベルギー戦で2−0のリードを守り切れなかったのも、この課題と同様です。
西野監督は同点になるまで交代やシステムの変更などの手を打ちませんでした。
52分に乾が2点目のゴール、その後日本にもチャンスがありました。原口のリフレクション、足の当たりどころが少しずれていたら、ゴールに飛んでいたかもしれません。65分にベルギーが二人交代し、3バックを4バックに変え、実質は中央の3人のディフェンスを2人に減らして、その分、中盤を厚くしてきました。乾は指で4を示し、システム変更を伝えていましたが、結果日本は対応できず69分・74分と失点してしまいます。
それは、2006年、ドイツワールドカップのオーストラリア戦、カイザースラウテルンで見た、ケーヒルのヘッドにやられたあの悪夢の5分間の様でした。

例えば、交代で日本が逆に3バックに変更する対策もあったと思います。
もちろん、選手を変えて並びを変えれば良いと言う訳でもないので、西野監督としてはそのまま戦うことを選択されたのではと思います。
その場面では、選手個々の対応に賭けたのかもしれません。
今回のレギュラーチームの11人の内、昌子以外は全員海外組でした。
世界の戦術の流れでは、選手のシステム的並びはありますが、攻撃と守備で可変し、試合の中でも状況で変えて対応しています。
ドイツやスペインなどで身に付けた個々の戦術対応に期待したのでしょう。
しかし、実態は2006年と同様に、高さと言う弱点を突かれ、対応仕切れなかったのは、残念でした。

変わらないステレオタイプという評価

日本代表に戦術的布陣を導入したのはトルシエ氏のフラット3ではないかと思います。
それ以前にも戦術はありました。初の外国人監督だったオフト氏のトライアングル・アイコンタクト、加茂氏のゾーンプレスなどですが、これらはキーワード的存在でした。
フラット3は、オフサイドルール変更前だったので機能した面はありますが、3人のディフェンスが横に並び高くラインを保ちコンパクトな布陣をベースとする、日本人の弱点をカバーするシステムでした。
それと共に、オートマティズムを導入しました。
状況に応じて行うプレーを規定化して自動的に打開できる様にして行きました。
この頃のトルシエ氏の説明は、組織6割、個人3割、不確定要素1割でプレーすると言う、それなりに説得力のあるものでした。
フラット3とオートマティズムをベースに、圧倒的な成績でアジア五輪予選を制し五輪ベスト8を達成、アジアカップも大差の試合を重ねて優勝しました。
ワールドユース準優勝・コンフェデレーションカップ準優勝、そしてワールドカップベスト16と、ユース・五輪・フルの各代表で監督を務めて好成績を上げ、色々と言われたトルシエ監督ですが、結果はサッカーフリークの日本人として、これ以上ない4年間を過ごせた訳です。
しかし、この日韓ワールドカップで日本代表に対するが海外の記者の評価は「ステレオタイプ」が多くを占めました。
ステレオタイプ、「紋切型」とか「判で押したような」という意味ですね。
オートマティズムを標榜していたのですから、ある意味そうなのかもしれませんが、やはりまだ海外組が4人だった時代、個人の力が足りなかったとも思います。
そして、16年経った今回、海外組は15人に増えましたが、やはり「ステレオタイプ」と評価を受けているようです。
確かにコロンビア戦の前半・ベルギー戦の後半を見ればそう見えても仕方ないかもしれません。
ただ、コロンビア戦にはハーフタイムで変えられたのですから、資質は十分にあると思います。

戦術面での強化を協会も考えるべき時

その面では、協会の体制も検討が必要かと思います。
僕も全てを知っているわけではありませんが、あくまでも外野の外野の意見ですが、技術委員会と言う委員会はあまりにも時代遅れになっていないかと思います。
日本リーグの時代ならば、まだ技術的に世界から遅れていると言う面はあったでしょう。Jリーグも四半世紀を経過し、若年層からの指導体制も出来上がり、必要なのは技術なのかどうかを考える必要があると思います。
日進月歩のサッカーの戦術の流れをしっかりと分析し、その取り込みと対応をしっかりと研究する部隊が協会内に無いといけないと思います。

それらは、現在のJリーグの試合もしっかりと分析する必要があると思います。
代表チームにそれ程の戦術を落とし込むことは難しいでしょう。
個々の戦術的向上が必要で、それらの集積で闘うことになるでしょう。
その為には欧州で経験を積まなくてはならないと言うわけには行きません。
やはり国内のリーグがより高い戦術的な展開の元に行われることが大切です。

そして、岡田武史氏が今治で実験している、一貫したスタイルの構築、岡田メソッドとも言われてますが、こうした動きを協会でも検討する必要があると思います。
日本サッカーの指導の欠点は、「一つの指導方針を出すとそれ一色になる。」ことだと言われています。
一時期はトップ下といわれるポジションばかりが育ち、今の20代半ばではサイドアタッカーが多く育っているのは、その15年前の指導方針から生まれて来るのだそうです。
確かに指導が画一的になるのは日本の特徴でしょう。
ならば、例えば岡田メソッドの核を抽出して、それを全国で指導していく。
そして、それらメソッドを、ゲーム中の場面でより良く選択出来る子供を、更にトレセンなどで指導して行く。
最低限の戦術的思考が出来る様にする指導をして行く事が出来れば、その様な選手が育ち、Jリーグのレベルも向上していくでしょう。

森保監督には8年やってほしい

森保監督には、戦術面での研究を重ねて欲しいと思います。
自身がするのか、その様なスタッフを持つのかは、監督の決めることですが、それらが集積される様な体制の構築は必要です。
そして、それらが受け継がれていかなければなりません。
久し振りの日本人監督、浦和レッズがJ2降格となった試合で、ドーハの悲劇の同僚で浦和のエースだった福田正博氏に真っ先に駆け寄り肩を抱いた姿、原爆記念日に初めて行われた広島の試合での監督としてのメッセージなど、森保監督の人間性を表す行動は色々と見て来ています。
そして何より、Jリーグ優勝3回の実績を持って監督になる事は、これからのJリーグ日本人監督にとっても、目標と出来るキャリアとして日本代表監督がある様になったと思います。
出来れば8年やって欲しいと思いますが、4年後には脅かす監督が出て欲しいとも思います。

そして、僕も素人は素人なりに、暫くは、戦術を基調にしてサッカーを見て行きたいと思います。

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