名古屋はいつ行っても刺激的だ。
公園の端に東京タワーのミニ版のテレビ塔がある久屋大通公園は、まるで札幌の大通公園のようだ。
テレビ塔に向いて札幌は右手にススキノの歓楽街があり、名古屋は左手に栄がある。
今回久しぶりに行って驚いたのが、名古屋にも観覧車ができたことだ。
ビルの上にあるススキノに比べて、少しビルに埋もれていているところが、いかにも名古屋らしい感じだ。
ちょっと調べてみると、大通公園の歴史は明治44年にその名を付けたのが札幌、名古屋は昭和38年に完成した。
名古屋は自分より後輩だ。
ところが、テレビ塔の完成は名古屋が昭和29年、札幌は昭和32年で名古屋が先。
驚いたのは、どちらも昭和33年完成の東京タワーより先にできている。
観覧車は栄は2005年開業で高さが52m、ススキノが2006年開業で78m。
高さはススキノだが、これも名古屋が先にできている。
しかし、どこか真似した感じが強いのは名古屋というイメージがある。
観覧車が12年前からあったのは知らなかったが、僕が行く栄のエリアからは観覧車が見えない高さなので気づかなかったのだろう。
そんな名古屋が生み出した独特な食文化は、今や「名古屋めし」として確立されている。
その中でも、僕が一番好きなのは「あんかけスパゲティ」だ。
あんかけスパゲティも系譜があるようで、発祥は「そーれ」、元祖は「ヨコイ」、名付け親は「からめ亭」と複雑だ。
そして、今回紹介するのは、その名付け親の「からめ亭」だ。
名前の由来は「あんかけうどん」から来たという。 関東でイメージするなら、かき玉うどんの汁なしというところだろうか。
そのあんかけソースは、大量の野菜と肉をじっくり煮込んだベースに、ブラックペッパーなど各種スパイスを加え片栗粉でとろみを付けたものだ。
これまでも、いくつかのお店で食べたが、この「からめ亭」が一番スパイシーで僕の好みに合っている。
そして、「からめ亭」でいつもオーダーするのはカルボラーナ。
そう、名古屋ではこれを「カルボナーラ」と言うのだ。
スクランブルエッグにハムがどっさり入っている。
茹でた麺を再度ラードで油通しした2.2mmの太めのスパゲティの周りに、あんかけソースをかけ、ハム入りスクランブルエッグをトッピングしたものが、カルボナーラだ。
スパイシーなソースと卵のマイルドさが混ざり合ってスパに絡むのが、「カルボナーラ」の美味しさだ。
「からめ亭」では麺の量に合わせてS・M・L・Wが選べる。
変わっていなければ「ヨコイ」では1・1.2・1.5・2と頼む。
人気のメニューは「ミラカン」。
ウインナー、と言っても蛸を作る赤ウインナー、ベーコン、ハムを炒めたものがトッピングされたものが「ミラネーゼ」。
そして、玉ねぎ・トマト・マッシュルーム・きぬさやにミックスベジタブルを炒めたものがトッピングされたものが「カントリー」と、それぞれ命名されている。
その両者をトッピングしたものが、「ミラカン」だ。
ケチャップ炒めを「ナポリタン」と言うのも強引だが、赤ウインナーで「ミラネーゼ」も強引すぎる。
そして、ある年齢まで僕たちが、イタリア人もケチャップ「ナポリタン」を食べていると思っていたように、名古屋の人たちはパンツェッタ・ジラーモがあんかけの「ミラネーゼ」や「カルボナーラ」を食べていると思っているに違いない。
からめ亭 丸の内店
名古屋市中区丸の内2-14-4 EXEビル丸の内ビル 1F
050-5571-2899
月~金 11:00~20:30
土・祝日11:00~19:00
あんスパ発祥の店 ヨコイのソースと麺をご自宅で楽しめます。