コロナ渦の中でも季節は動いている。9月の声を聞けば、ツクツクボーシが泣き始める。
しかし、まだ暑い日は続き、冷やし中華が恋しい。
そんな中、一風変わった冷やし中華の情報を入手、興味を持ったので早速行ってみた。
継承の中で産まれた伝統
ラーメン好きであれば、その店の持つ系譜を気にして暖簾をくぐる事もあるはずだ。
いわゆる、暖簾分けだ。
2015年に亡くなられた山岸一雄さんが立ち上げ、多くのお弟子さんが独立して行った東池袋大勝軒のホームページを見ると、直営で2県6店舗、のれん会には13県28店舗が名を連ねている。
しかし、ここには名前のないお店も多数存在する。
お茶の水大勝軒もそのひとつ。
しかし、店主の田内川真介さんは山岸一雄さんの弟子であり、その味と暖簾を託されている。
大勝軒が人気店になった要素の一つが、「特製もりそば」にある事は間違いないだろう。
つけ麺の元祖とも言われている。
しかしここにも系譜がある。
もともとは大勝軒が生まれる前に修行をしていた「丸長」には、中華麺をつけ汁で食べる「もりそば」が存在していたそうである。
これらは、戦後間もない物のない時代、蕎麦粉はなく小麦粉だけだった時に生まれたものだった。
「丸長」から独立し「永楽」に移った頃、山岸さんが賄いで食べていた「もりそば」を、日本そばの伝統に習い「特製もりそば」と名づけメニュー化された歴史を持つ。
その後、「永楽」から独立した「大勝軒(中野)」、山岸さんが暖簾分けされた「東池袋大勝軒」へと受け継がれていき、一躍人気メニューに発展する。
復元された大勝軒の冷やし中華
もちろん、お茶の水大勝軒にも「特製もりそば」はメニューの筆頭だ。
そこに、タンメンやワンタン麺、餃子などの旧東池袋大勝軒時代の復刻メニューもある。
その復刻メニューの一つとして「冷やし中華」がある。
復刻に際しては、生前の山岸さんも関わっていたようで、単なるメニューの復刻ではなく味も復元されたようだ。
出された冷やし中華は、細く奇麗に千切りされた具材が放射線状に並ぶ、伝統的な日式町中華の形式だ。
焼豚と共にハムが並ぶのも嬉しい。
煮〆た椎茸がアクセントになっている。
麺は「特製もりそば」より細いが、大勝軒の麺なのがわかる。
タレは昔ながらの醤油タレ。
甘すぎず、しっかりとした醤油味に程よい酸味の懐かしい味だ。
そして、サプライズが最後にやって来る。
皿に残ったタレをスープ割してくれると言うのだ。
大勝軒と思えば当然かもしれない。
調べたら、冷やし中華のスープ割はオリジナル時代もあったそうだ。
私は予備知識もなかったし、そもそも大勝軒で「特製もりそば」か「中華そば」以外を食してなかったので、サプライズだった。
そして、このスープ割が大勝軒のスープにタレが混ざり合って、なかなかの美味であった。
王道の冷やし中華は、今週に行け!
お茶の水大勝軒の冷やし中華は、決して奇をてらった物ではなく、オーソドックスな冷やし中華だ。
しかし、その中に冷やし中華の良さが凝縮されている。
まさに王道と言える。
昔ながらの冷やし中華を食べたくなったら、お茶の水大勝軒を訪れることとしよう。
とご紹介したのだが、お茶の水大勝軒はビルの建て替えのため、2020年9月15日をもって一旦休業となる。まさに、今週の行け麺である。お茶の水大勝軒の系列店などの情報はこちら
お茶の水,大勝軒ジャンル:ラーメン店
アクセス:JR中央線お茶ノ水駅お茶ノ水橋出口 徒歩5分
都営新宿線小川町駅B7出口 徒歩3分
半蔵門・都営三田線神保町駅A7出口 徒歩4分
住所:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-1-5 須田ビル2F(地図)
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情報掲載日:2020年9月7日