「路麺」と言う言葉がある。
Weblio辞書から引用すると
路麺
https://www.weblio.jp/content/路麺
読み方:ろめん
主に東京都内の道路沿いに立地しているチェーン店ではない立ち食い蕎麦屋を指す意味で用いられる表現。路傍に位置する麺類の店。「路傍の石」ならぬ「路傍の麺」という言い方が略された言い方とも解釈される。
とある。
単に「路面」をもじったものかと思っていたが、予想以上に文学的だった。
「今週の行け麺!」では、これまで「路麺」店を取り上げてこなかったことに、特に理由はない。
うまい麺なら、紹介しないわけがない。
立ち食いそばの出会いは「田園そば」
不思議なことに、私は「立ち食い蕎麦」との出会いをはっきり覚えている。
小学校5年か6年の時である。
当時、引越しから電車通学していた同級生のスナッチが、「中目黒駅に蕎麦屋ができた」と言う情報をもたらした。
「駅に蕎麦屋?」となり、帰りに一緒に中目黒駅に行くと、改札を入り階段を登った踊り場に、確かに蕎麦屋が出来ていた。
その名も「田園そば」。
大人たちは立ったままで食べていた。
「東横線なのに田園そば」と言う疑問も湧きながら、食べてみたくなっていた。
そして、他の友達も誘って、3〜4人だったと思うが、土曜日に行くことになった。
親に頼んで、100円を持って学校に行った。
半世紀も前の出来事だ。
学校にお金を持って行くだけで、冒険心を刺激した。
「改札で頼めば入れてくれるよ」と言う母親のアドバイスもあり、改札のおじさんに「田園そばを食べたい」と言うと、通してくれた。
Suicaも良いが、昔は改札にも人情があったのだ。
大人に混じって高いカウンターの蕎麦を食べた。
月見蕎麦だったと思う。
確か60円位で、お釣りは小遣いにした。
曖昧な部分もあるが、この出会いは忘れられない。
「ゲソ天」に一目惚れする。
日暮里は繊維街のある街だ。
出来なければ絶対に読めなかった「舎人ライナー」の始発駅でもある。
山手線をそちら側に降りて、西日暮里方向に少し歩き、二つ目のタワーマンションの角を曲がって進み、さらに路地のようになった道を入ったところに、今日紹介する「一由そば」がある。
24時間営業、夜道を照らす灯りの中、丼を持って食べている人がいる。
まさに、路傍の麺だ。
「一由そば」の売りはなんと言っても天ぷらだろう。
このお品書き見ればそれはわかる。
しかし、ほとんどの人が頼むは、イカゲソのかき揚げの「ゲソ天」だ。
それに対応した量がケースにも並んでいて、目を惹かれる。
これに「紅ショウガ天」を合わせた。
ぶつ切りのゲソのコリコリ感と、紅ショウガの刺激が入り混じる。
蕎麦そのものは、柔らかい路麺らしい蕎麦。
濃い目の汁も昔の路麺らしいが、出汁が効いていて優しい味だ。
食べるに連れ、その汁が天ぷらに染みていくほどに油が汁に溶け、全体的に新しいうまみを引き出し、最後まで楽しめる。
路麺の方程式
普通盛りの麺と合わせて470円。
組み合わせとしては「紅ショウガ天」は半分でも良さそうで、その分「ゲソ天」をジャンボにしても440円。
ゲソと紅ショウガのかき揚げのジャンボサイズ「JKB」を選択したら410円でいける。
おいしさと満腹感、その費用対効果が重なり合った時、路傍の麺はいつしか人が集まる。
ジャンル:そば
アクセス:都営日暮里・舎人ライナー日暮里駅ポートタワー口 徒歩3分
住所:〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-26-8(地図)
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情報掲載日:2020年10月8日