角松敏生の新しい取り組みから、アフターコロナのコンサートを考えてみた

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角松敏生
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新型コロナウイルスによって壊されてしまった日常は全く戻る気配もありません。
ご無沙汰していましたが、皆さまはお元気でしょうか?
私は、幸いにも、周囲にも知人にも感染者はなく、今のところ聞いているのは、知人の知人レベルまでです。
しかし、自宅近くに感染者の宿泊ホテルがあり、その灯りの増減に、この所の感染者数の推移を感じています。
日々の感染者数が過敏に報道される中、その対極とされる経済活動として、アフターコロナの生活様式も様々な取り組みがされています。
音楽好きの私としては、角松敏生の取組みから、アフターコロナのエンターテインメントについて少し考えてみました。

音楽・コンサートの損失規模は3,300億円

調べてみますと、コロナ渦によるエンターテインメント界の損失は6,900億円(2021年1月まで)と言われているようで、その内音楽・コンサートでは3300億円と言う規模感とのことです。
音楽業界の儲け口は、Apple Musicなどのサブスクライブの浸透により、CDなどのメディア販売からコンサートに移っていることは良く知られています。
そのコンサートを奪われた事は、まさに死活問題となっている訳です。
音楽・エンターテインメント界にとって不幸だったのは、2月末の時点で大阪のライブハウスがクラスターとして報道されてしまった事ではないでしょうか。
もちろん、今ほどはコロナウイルスについてわからない時期でしたが、付き合い方を考える前に、いち早くロックダウンされてしまい、ダメ出しをされた感が根付いてしまいました。
私も、参加を予定していたいくつかのライブが中止となりました。
今後、コロナ渦以前に戻れるのかどうかは分かりませんが、今ここで考えられる最良の解決策は、ワクチンや治療薬の開発となると思います。
コンサートだけでなく、サッカーや野球などの試合会場でも、マスクや手の消毒だけではなく、ワクチン摂取の証明を見せる様な事になるのかもしれません。
ただそれには、まだ時間がかかります。
ミュージシャンを始め、それを支えるスタッフや興行を支える会社・会場提供者などがそこまで耐え得る余裕があるのかは喫緊の課題です。

角松敏生が挑んだ新しい取り組み その1 配信ライブ

その中で取り組まれたのが、配信ライブです。
角松敏生も7月25日に「TOSHIKI KADOMATSU Performance “SUMMER MEDICINE FOR YOU 2020 ”」と銘打った配信ライブを行いました。
現在は三浦海岸に設置される海の家型ライブハウスで毎年二日間行われる夏のライブの今年分を、配信で再現したものでした。
収録は16日にブルーノート東京で行われました。
残念ながら名古屋は廃業に追い込まれてしまいましたが、ブルーノート東京はライブを再開し、また配信の場としての提供も行っています。
記憶では、7月25日の視聴者数のカウンターは7,000人近くになっていました。
興行的な差はわかりませんが、音霊なら約10回分、中野サンプラザなら約3回分の公演の聴衆に匹敵します。
25日は、ライブの進行役として角松敏生本人が参加して、チャットに反応して生配信と収録配信を織り交ぜて、双方向感を作っていました。
翌日からは、ライブシーンのみを配信、私は25日はテレビの大画面で見て、それ以降はパソコンにヘッドフォーンで音量を上げて楽しみました。


角松敏生が挑んだ新しい取り組み その2 ライブビューイング

そして、8月12日には「TOSHIKI KADOMATSU Performance“2020.08.12 SPECIAL GIG”」と銘打って、Zepp TOKYOでのライブの模様を、台湾を含む全国100カ所の映画館でライブビューイングを行いました。
ライブビューイングは衛星放送を使用するとの事で、インターネットの配信よりも安定しているとの事でした。
私のいた会場では一度だけ一瞬止まりましたが、それ以外には通信上の問題はありませんでした。
聴衆はざっと60人くらいの感じでした。
Zepp TOKYOが500人として、これも7,000人近い方が参加されたのかなと思います。

配信ライブ・ライブビューイングの良し悪し

ライブビューイングは配信ライブよりも、会場の座席に座って見ると言うことからか、演奏の同時感はありました。
しかし、それだけにライブ会場との差がいろいろと感じられました。
まず、仕方のないことかもしれませんが、音が映画館の音です。
これは角松氏がFacebookで発言されてましたが、音量は映画館が決めるもので指示はできないのだそうです。
そして、見える景色が違う。
写る映像はブルーレイで見るライブの様に、様々に切り替わります。
逆に定点だったら飽きるのでしょうけど、配信ライブは編集された映像と思ってみていますが、同時性の状況だっただけに、ライブの舞台に入り込む訳でもなく、つい見入ってしまいます。
さらに、ライブなら会場側を照らすライティングもあったりしますが、映画館は常に暗いままです。
つまり、同時に見ているのですが、同時ではないことを痛感させられる訳です。
中には、手拍子をされたり拍手したりする方達もいらっしゃいましたが、私はまるでブルーレイのライブを映画館で見ている気持ちで聴いていました。
それでも、例えば「CRESCENT AVENTURE」と言う曲では、角松敏生のヴォーカルに本田雅人がサックスを被せると言う、アルバムにはないアレンジにドキッとさせられて、ライブ演奏を感じさせられました。
角松氏も「パッケージで販売するブルーレイに勝るものではありません。」と語っていますが、それは実感として大きく残りました。

飢餓感を埋めた後には、感動モデルが必要だ

角松敏生のコアなファンは、ライブへの飢餓感や、その年齢層から配信ライブやライブビューイングの新しい体験を楽しめたかもしれません。
ライトなファンは、そもそもこのイベントを知り得たかどうかもわからない状況かと思います。
ライブビューイングが一つの形態として認知されて、毎晩の様に、または金曜日の夜には誰かのライブビューイングがあるとなると、それを目的に映画館を覗く人たちも増えるかなと思いますし、予定表を検索して久しぶりにこのアーティストのライブに行ってみようと思う方もいるでしょう。
映画館とのWIN-WINモデルは生まれそうな気がします。
それにしても、東京の飲食業10時まではいただけません。
いつもの様に6時半から約3時間、しっかり唄ってくれたのは嬉しいですが、ラーメン屋のラストオーダーに駆け込むと言うのは、野暮でしたね。

さて、今回の配信ライブやライブビューイングが、感動モデルになっていたかどうかと言うと、飢餓感への埋め合わせと言う意味で感動できたと言うレベルかもしれません。
実際の興行としての損益を知るに至りませんが、新しい収益モデルとして成り立たせるには、やはり感動モデルをどう提供するかによると思います。
サザンオールスターズは配信ライブを横浜アリーナから無観客で行いました。
もちろん、売上は角松敏生より大きいでしょうが、大会場を使うことにより、さまざまなスタッフへのペイも果たすと言う事も考えられた事でしょうし、角松敏生の二つのチャレンジにも同じ意味合いもあったものと思います。
ただ、同じ事を2回やっても、同じ数が集まるかは疑問です。
常に新しい感動モデルを提供していかなければなりません。

延期された東京オリンピック・パラリンピックでは5Gの活用がなされるとの事でした。
配信を考えた時、5Gによる新たな取り組みは考えられていく事でしょう。
VRホールみたいなものは、十分実用できると思います。
しかし、サービスはスタートしていますが、対応の端末を持たなくてはならず、また、受信エリアなどのインフラの提供も合わせると、実用には少し時間がかかるものと思います。
角松敏生のコアなファン層である私たちアラ還世代も、新しいテクノロジーを積極的に取り入れていかなければならなくなるのでしょうね。

次は私たちが音楽を応援する番

緊急事態宣言の自粛時、アーティスト達はYouTubeなどで無料支援をされて来ました。
それは私たちの暗い心に光を与えてくれるものでした。
そして、アフターコロナの下、今度は有料化のステージになっているのだと思います。
私たちオーディエンスが協力する番ですね。
No Music, No Life♡

2020年10月18日追記:「TOSHIKI KADOMATSU Performance“2020.08.12 SPECIAL GIG”」の模様は、2020年10月24日19時からWOWOWで独占放送されます。お楽しみに。

コメント

  1. […] このライブは、台湾を含む全国の映画館でパブリックビューイングされたことは、以前にレポートしました。その映像を改めて観れるのは、嬉しいですね。スペシャルナイトだけに、い […]

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