セカンドライフをアカデミックに充実させようと、美術館へ行ってみる事にしました。
これも歴史探訪の活動の一つですね。
とは言ってもあまり知識も見識もないので、かなり敷居は高いのですが、そんな僕にぴったりの美術展を見つけました。
その名も「怖い絵」展。
人気があって入場も結構並んでいるという報道をテレビで知りました。
美術展などこれまでも行ったことはなかったので、混んでいると聞き「ぴあ」で入場券を事前購入して、「上野の森美術館」に向かいました。
多分初めての「上野の森美術館」ですが、こじんまりした中にもその佇まいに気品を感じました。
それもそのはずですね。
「上野の森美術館」の下に書かれた英語名は「THE UENO ROYAL MUSEUM」。
ロイヤルだったんですね。
入口の前には行列が出来ていて、入場は80分待ちでした。
しかし、チケット売り場前は行列がなく、コンビニのプリンタ印字だけの味気ないチケットより、怖い絵の印刷されている方がよかったなと後悔先に立たずでした。
この「怖い絵展」、どんな美術展なのか上野の森のHPによると以下の通りです。
ドイツ文学者・中野京子氏が2007年に上梓した『怖い絵』は、「恐怖」をキーワードに西洋美術史に登場する様々な名画の場面を読み解き、隠されたストーリーを魅力的に伝える本としてベストセラーとなり多方面で大きな反響を呼びました。
同書の第一巻が発行されてから10周年を記念して開催する本展は、シリーズで取り上げた作品を筆頭に「恐怖」を主題とする傑作を選び出しテーマごとに展示します。
つまり、怖い絵と言うのは、絵そのものが怖いと言うものではなく、背景を知って見るとると怖くなると言う絵を集めたものでした。
中では女優の吉田羊さんの音声ガイドが聞けるレシーバーが550円でレンタルできます。
中野京子さんの解説も含まれています。
各絵の横には説明が書かれていますが、音声で聞いた方がより楽しめると思います。
僕が特に気になったのは次の3枚の絵です。
グッズコーナーに絵葉書があったので買ってしまいました。
ムンクが数多く描いたファム・ファタール(運命の女)。
そのモデルは強烈な官能性でムンクを魅了したダグニー・ユールと言われているそうです。
このダグニー・ユールは結婚し子も生したが尚も男を吸引し続け、若く嫉妬深い恋人に射殺され、その男も自殺したとの事。
その翌年に、結婚を求める愛人と揉み合い銃が暴発し左薬指の指先を失ったムンクは、その後も指の神経に悩まされ天賦の才能も輝気を失ったのだそうです。
もちろん、ダグニー・ユールの死とムンクの事故には関係性はないのでしょう。
しかし、芸術と狂気のファム・ファタールの絵から、ムンクの運命を感じられるのではないでしょうか。
19世紀末のロンドンに現れた猟奇連続殺人鬼の元祖「切り裂きジャック」は、コナン君にも登場するなど今でも様々な形で描かれています。
そして、この画家シッカートは「切り裂きジャック」に関連する絵を残したばかりか、容疑者として取り調べも受けていたそうです。
さらに、近年再び真犯人説も発表されているそうです。
この「切り裂きジャックの寝室」は、ジャックが住んでいたとの噂からシッカートが部屋を借り書いた絵なんだそうです。
ジャックそのものが描かれている訳ではありませんが、さすがのクリミナルマインドもここまで犯人の住んでいる場所を描くことは出来ないだろうなと思える、なんとも言えない猟奇さを感じます。
そして最後は、この美術展の目玉は、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
この絵の公式ホームページの開設は以下の通りです。
本展最大の注目作は、縦2.5m、横3mにもおよぶ、ポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》。「9日間の女王」として知られる少女の最期を、繊細な筆致と緻密な構成で描いた本作は、まさに圧巻の一言。
1928年のテムズ川の大洪水により失われたと考えられていたが、1973年の調査で奇跡的に発見される。1975年の一般公開再開以来、瞬く間にナショナル・ギャラリーの代表作品となった奇跡の作品が初来日。
この「怖い絵展」は、中野京子さんも言われていましたが、「これまで絵は自分の感性で見た方が良い」と教えられていたと思いますが、「きちんと時代背景や隠された物語と言う知識を持って見る」ことで、更なる想像力を持って見る事が出来ると言う、違った視点を教えてくれました。
ムンクも、切り裂きジャックも、レディ・ジェーン・グレイも、ただ見るのと背景を知って見るのでは、感じるものが全く違います。
この年齢で美術展デビューを果たした僕にとって、この見方を教われたことはとてもよかったと思います。
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