いくつかの記事で書いたように、僕は1980年と81年に新宿に勤務していた。駅で言えば地下鉄丸ノ内線の新宿御苑で、新宿からは二つ目の駅だけど、歩いても10分くらいの距離だった。
80年の新宿は、もう既に西口に高層ビルが立ち並んでいたが、そこに向かう地下道には路上生活者の巧みなダンボールハウスが列なっている、そんな陰陽をわかりやすく抱えている街だった。
新宿御苑は住所で言えば新宿2丁目だ。
当時は今ほど市民権を得ていなかった方々もいたし、一本路地に入れば大阪の飛田新地の原型のようなところもあった。そこを抜けて、明治通りが枝分かれした道から新宿駅に向かって、歌舞伎町も含めた巨大歓楽ゾーンが広がっていた。
そして、誘惑に負けなければもっと違った人生が送れたであろう僕らは、その中に紛れ込んでいた。その頃、先輩に連れて行かれた締めのラーメン屋を今日は紹介する。
先輩に連れて行かれた桂花ラーメン
当時よく行っていた中で衝撃的だったのは、新宿三丁目駅のそばにあった「桂花ラーメン」だ。新宿通りと靖国通り、明治通りとその枝分かれした道に囲まれたエリアも不思議な空間だった。居酒屋もあり桂花ラーメンもあり、寄席の末広亭があって当時はトルコ風呂と呼ばれていたものもいくつかあった。その一つで侍従の方が亡くなったのも、その頃の出来事だったと思う。老舗百貨店の伊勢丹の横は、そんな清濁を飲み込んだエリアだった。
「桂花ラーメン」は熊本ラーメンと言うご当地ラーメンだ。高校時代に熊本を電車で通過はしたが、ラーメンなど食べる間もなかったので、熊本ラーメンと言われても、それは札幌ラーメンも同じだけど、その実態は当然知らなかった。確かなのは、今では一般的な博多ラーメンよりかなり前に、熊本ラーメンを食べていたと言うことだ。
当時の店に入ると、桂花ラーメンが「小川宏ショー」で紹介されたパネルが貼ってあったのが印象的だった。
2018年12月に東京進出50年を迎えたそうなので、開店12年目に訪れていたことになる。
西新宿で再会した桂花ラーメン
今回行ったのは新宿三丁目ではなく、西新宿店だ。京王デパートの通りの反対側にあるヨドバシカメラの周辺も昔から歓楽街だった。その中で、赤い看板に懐かしいフォントの「桂花」の文字を見つけて、思わず入ってしまった。
頼んだのはノーマルの「桂花拉麺」
「太肉麺」という選択肢もあったが、無難に出た自分に成長を感じた。
出てきた一杯は、昔の記憶を呼び戻すに十分だ。
当時は太麺と思っていたが、今では中太になってしまった麺。硬めの茹で具合は変わらないが、あの頃は、もっと濃い色でもっとボソボソ感があった様な気もする。
焦がしニンニクとごま油で作られたマー油が浮いた豚骨スープは十分にあの頃の記憶を呼び戻す。豚骨とニンニクの調和が良いのは当時のままだが、もっと濃いスープが増えたせいだろうか、濃厚さが薄れた様に感じる。
具材の特徴だった茎わかめのトッピングも健在だが、すこし細くなった気もする。
薄く切った叉焼と煮卵。ラーメンに煮卵は、当時は珍しい存在だった。口にすると記憶が蘇る。
全体的にマイルドになった気がするのは、時代のせいなのかもしれない。 あの頃のままだとしても、改良をしていたとしても、20年ぶりに食べれば変わって思えるものだろう。 ただ、「小川宏ショー」を放送している時に、東京に九州ラーメンを持ち込んだ功績は大きい。
桂花ラーメンのホームページを見たら、西新宿店はフランチャイズだった。
今度は新宿三丁目の店を訪れてみよう。
もしかしたら、変わったのは自分なのかもしれない。
ジャンル:熊本ラーメン
アクセス:JR新宿駅 徒歩1分
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-14-2 安西ビル1F(地図)
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情報掲載日:2019年1月6日
レストランブランド情報:桂花ラーメン
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