僕が子供の頃の中華店はと言うと、カウンター席中心の町のラーメン屋だった.
ラーメン屋と言っても、炒飯もあるし餃子も野菜炒めもある。
庶民的、とは言っても滅多に行けない、回るテーブルがある本格的中華飯店の代表格は「銀座アスター」。
そして、何と言っても横浜中華街の豪華絢爛なお店となる。
その後、ラーメン専門店が登場する。
僕が新人社会人だった頃、西新宿には「満来」があり、新宿三丁目には「桂花」があり、国立競技場の前には「ホープ軒」があり、明治通り並木橋の手前には「香月」があり、三田の交差点に「二郎」があった。
そして平成を迎えた頃からか、比較的豪華な感じの中華店がなかに登場してきた。
中国人の方が経営している店で、カウンター席はなく、テーブル席でやや広めの店舗。
ランチタイムには小さな杏仁豆腐が付いているのが特徴だ。
それらを併せて大陸系中華と呼び、昔ながらの町のラーメン屋は日式中華と呼ぶそうだ。
今回紹介する「らーめん日の出」は、典型的な日式中華だ。
首都高浜崎橋ジャンクションの少し南、8車線の海岸通りとゆりかもめ下を通る桟橋の前の通りの間にある細いお店。
カウンターの奥にテーブル席が2席と言う店つくりも日式だ。
店主と奥さんと母親と思われる構成で店を切り盛りしている。
メニューに野菜炒め等のおかず系は無いが、日替わりで一品おかずの定食が存在する。
もちろん、杏仁豆腐はついていない。
「らーめん日の出」のランチタイムの主役は麺類と炒飯だ。
ここの麺類は、昭和レベルが高く、飛び切り美味いとは言えないが、どこか安心する味だ。
ちょっとした気品を感じたアスター麺のスープでもなく、その後たくさんできたラーメン専門店のこだわりのスープでもなく、大陸系の少し素っ気の無いスープでもない。
子供の頃から親しんだ鶏ガラと野菜で丁寧に取ったであろうスープに、どこかホッとしてしまう。
僕の一番のおすすめはにらそばだ。
ピリ辛に炒めたたっぷりのにらにもやしとひき肉が、乗せられている。
ニラのピリ辛と叉焼の煮汁ベースの甘みのある醤油スープが溶け合って出来るスープの微妙な味が素晴らしい。
品川の金山食品製の麺の卵味に良く合う。
そして、次にタンメン。
野菜を炒めた中華鍋にスープを注ぎ味を調える調理法は健在だ。
野菜のエキス一杯の塩味スープ。
最後まで中華鍋の熱さを感じる事が出来る一杯だ。
さらに、忘れtはならないのが味噌チャーシュー麺。
ここの味噌スープは遠く札幌の味噌ラーメン発祥の店「味の三平」のスープを彷彿させる。
また、子供の頃初めて食べた札幌ラーメン「道産子ラーメン」の味噌の味かもしれない。
そんな懐かしさの中、「味の三平」の西山製麺の麺はもう少し太いなと思いながらも、この麺は味噌にも合うなと感心してしまう。
分厚い叉焼も、スープを吸わせて柔らかく食べる。
基本は麺の紹介なのだが、もう一品、書かずにはいられないのが炒飯だ。
ラードとやり玉に挙げられる化学調味料もしっかり加えられたその味は、見事な昭和のラーメン屋の炒飯だ。
この店の炒飯率は異様に高いのも頷ける。
昨今、半チャンラーメンが姿を消しているようだが、ここではもちろん健在だ。
更に、炒飯半ラーメンまたは半ワンタン、半炒飯に半ラーメンと言うセットがある。
お気に入りの3つのラーメンと炒飯から、今日はどれを選ぶかを迷いながら海岸通りを歩くのが、ランチタイムの小さな喜びなのだ。
桟橋と海岸線の大通りに挟まれたエリアにポツンとある「らーめん日の出」だが、存在し続けているのには意味があるのが解る。
らーめん日の出
東京都港区海岸2-6-41
03-5443-4323(予約不可)
11:00~14:30 17:30~22:00
定休日 日・祝
カード使用不可
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